「株アイドル」が語る諜報活動

 はてなブックマークの「政治と経済」カテゴリーの新着記事(ホットエントリー)一覧を眺めていたら、21件のブックマークがなされている記事を見つけた。深田萌絵 - Wikipediaによると執筆者は初代「株アイドル」らしい。

 ざっと読んだ当初の感想は、これが本当のことならば世の中にはよく分からないこともあるのだなと思っただけだった。そう、当初は。
 ブログのエントリーを読み終わってブラウザを閉じようとしたとき、ふと疑問が生じた。このブログの記事がはてなブックマーク界隈で注目されたのは前述の通りだが、ではブックマークをした人はどのような点に注目したのだろうか。
 多くの人がいわゆる無言でブックマーク(コメントを付さずにブックマークのみすること)をするなか、whkrさんが興味深いコメントを書いていた。どうやらブログ内の他の記事も刺激的な内容となっているようだ。

 「この記事の内容もすごいけど、このブログの他の記事はそれ以上だな。」

 そこで他の記事にざっと目を通してみた。それらの記事内容を一言でまとめると、「『株アイドル』が語る諜報活動」となる。年の暮れということで時間のある人はブログ記事一覧|深田萌絵 公式ブログから関連する記事を読み進めればよいかもしれない。
 私がまず気になったのは、中国スパイ事件サマリー|深田萌絵 公式ブログの記事だ。ここに掲載されている写真の "taxpayer's handler" という言葉の使い方を見たことがなく、また Campbell 氏の名刺にメールアドレスが書いていないことを不思議に思った。そもそも、IRS の中の人が日本企業の日本人社長を相手に中国語で電話をするのだろうか?
 Campbell 氏とは何者なのだろうか?インターネット上にある英語の情報として、大学進学希望者に奨学金を提供する団体(1989年10月設立)で2013年に窓口業務を担当していたこと*1と、ホスピス団体への寄付の記録*2だけだ。後者からは Campbell 氏が既婚女性であることが分かった。
 日本語の他のブログにおいて記事が一件だけ見つかった。ただし、英文ではあるのだが。東京地裁を Tokyo Court と訳出していること等気になることはいくつかあるが、今月上旬現在までの出来事を被害者側の視点で整理しているエントリーであり、貴重なものである。

 これらを読み大まかな流れを理解したうえで、ブログのバックナンバー記事に目を通した。どうやら、ブログの記事で紹介されていたニュースサイトの記事を先に読んでから、ブログのバックナンバーを読んだ方がわかりやすそうだ。そのニュース記事を以下列挙しよう。

 ブログの執筆者は事業を進めるなか、一つ目と二つ目の記事のテーマである「ファーウェイ」関連と思われる動向に不信感を抱き、地元警察に問い合わせたが、事態は収束しなかった。3番目の記事にあるとおり、ブログの執筆者が社長を勤める企業(記事中のR社、Revatron株式会社)は、軍事転用可能な技術を危うく窃取されるところだった(これは記事中のK氏、Mr. Jason Hoが機転を利かせたというか、事態を予測して対策を講じていたおかげだろう)。残念なことに、この産経新聞の記事が公表された直後、そうした技術はハード・ソフトともに盗まれてしまった*3

 これらの話が、一番最初に触れた UFJ 銀行の事件とつながる。【裁判告知】東京地裁823号法廷 1月8日午前11時30分です。|深田萌絵 公式ブログ によると、軍事転用可能な技術の窃取に関わった元副社長の知人がその事件の裁判官であり、また元副社長に紹介された人物が UFJ 事件の原告代理人だったらしい。これらの情報がすべて真実ならば、複雑怪奇としか言いようがない。

(追記:UFJ銀行の事件を諜報活動の文脈に照らし解説するエントリーが公開された。三菱東京UFJ銀行が解放軍の為に米軍技術横流しに加担|深田萌絵 公式ブログである。)

 それでは一般人はどう考え、行動すればよいのだろうか?平和を愛する諸国民の公正 (justice) と信義 (faith) というものを全面的に信頼できればよいのだが……他者との交流に特に注意を払い、異変を察知できるよう生活しなければならない気がする。相当息苦しく感じるかもしれないが、そういう時代になってしまった(そういう時代が既に作り上げられてしまった)ということで、あきらめるしかないのだろうか。私にはよくわからない。