いわゆる西山事件についてのつぶやき - blechmusikの日記の続きである。
http://t.co/RBXTITLeRS 澤地久枝の『密約―外務省機密漏洩事件』http://t.co/xuYhG6qmYl は後述する蓮見武雄氏の見解に言及していないので、西山事件と呼ばれる公電漏洩事件の総括にはふさわしいとはいえない文献だと私は思っている。(続く)
— blechmusik (@blechmusik) 2013, 10月 26
(承前)そういえば、澤地は『文藝春秋』の記事で、新婚の男性(X氏)に対して避妊を気にせず肉体関係を迫った身持ちの悪い女性として元事務官を描写していた(http://t.co/QGogGEmFfx p.280)。(続く)
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(承前)その後記事を書籍化するにあたり、澤地は当該部分を全く掲載しなかった(『密約』「第12章 告白2」p.249の箇所)。様々な調査を行ったうえでX氏の発言すべてを信用する訳にはいかない、との判断を澤地が下したのだろうか。それとも紙幅の都合上カットしただけなのだろうか。(続く)
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(承前)そのX氏の発言といえば、西山記者への攻撃も我慢がならないと言うものの、外務省内部の事情について元事務官が週刊新潮に手記を寄稿した事態に憤っている箇所が気になる(『密約』pp.252-253)。X氏は概して外務省員への批判が展開されたことに怒ったようだ。(続く)
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(承前)元事務官が寄稿したのは、従前から研究していた国公法等の知見をいかして(http://t.co/vhquYOjbSz p.284)、元事務官に過大な重責を負わぬよう勤務条件に注意を払い、また職務の遂行に関して助言した元夫の蓮見武雄氏(元外務省員)の影響があるだろう。(続く)
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(承前)蓮見氏は外務省内の人事や極秘文書の管理状況を考察し、「公電漏洩事件は西山記者と妻とで起こした事件でなく、初めから外務省が一枚かんでいたのであって、関係のない妻に責任を押しつけて、西山記者と外務省が主犯で有りながら逃げ切ろうとした事件」と断定している(p.287)。(続く)
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(承前)蓮見氏の指摘の中で興味深いのは、コピーを取る承諾を求めるために用いる上司の判を元事務官が常に持っていたことこそ「気の小さい妻が西山の書類の持ち出しのそそのかしに応じた」理由だと推察していることだ(p.286)。(続く)
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(承前)「西山はそそのかしというより、応じないと立場上貴女は困ることになると言ったというのだから恐喝である(新聞でこのことは報道済み)」(p.286)と蓮見氏はいうが、これは不適切な判の管理が明らかになれば上司は失脚し貴女は閑職に追いやられるぞという警告だろうか。(続く)
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(承前)また蓮見氏は、外務省の情報漏洩事件(西山事件前)において「部内だけで秘密漏洩の処理」がされたとの旨を妻から聞いたことを想起し、「役所の方で妻に秘密を漏らしても処分は大したことはないのだぞと妻に安心感を与える手のこんだ芝居をやっていた」と分析している(p.288)。(続く)
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(承前)蓮見氏は他の事も論じているが、氏によれば公電漏洩事件とは外務省(元事務官の上司)とマスコミの接近によって惹起された事件である。そして元事務官が情報を漏洩した主たる理由は肉体関係関連の脅しというよりも、判の管理責任に関わる上司の進退問題への波及を避けることにあった。(続く)
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(承前)このような蓮見武雄氏の見解を理解したうえで「手記 外務省機密文書漏洩事件 判決と離婚を期して 私の告白 蓮見喜久子」(『「週刊新潮」が報じたスキャンダル戦後史』 http://t.co/LmwWgf8R7B 所収)を読むと細部の描写をよく理解できるだろう。(続く)
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(承前)澤地はこういった蓮見武雄氏の見解を『密約』で黙殺しているが、その理由は明らかではない。もっともこれは澤地に限らないことで、元事務官側のブレーンというべき蓮見武雄氏の見解を丹念に検証していわゆる西山事件を論じた人は残念ながらいない。(終わり)
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