日本でも紹介されていたドーナーの逃亡劇が終焉を迎えたということがわかった*1。ここでいくつかの点を覚え書きとして残しておきたい。
Dorner Manifestoの在処
ドーナーが発した犯行声明に関して、日本語で読めるブログの記事としては以下のものがある。
上記のブログからは改変後の Doner manifesto のページへのリンクが張ってある。それが以下のcbs8.comのサイトのページだ。ページ冒頭に断り書きがあるから流し読みするまでもなく、人名がかなり隠されていることが分かるだろう。
google で検索したら、改変前の無修正版らしき Dorner Manifesto が pastebin.com に投稿されていることが分かった。一体誰がこれを投稿したのか分からない。メディア関係者だろうか。
Dorner Manifesto にはさまざまなことが書いてあるが、犯行の動機は前半部分で語り尽くされていると見てよいだろう*2。そこまでの部分を読めば、ドーナーがLAPD内でどのような不正を見、聞き、体験し、そして LAPD に戦いを挑んだかが分かるだろう。もっとも、これはドーナーの意見をそのまま聞き入れることを前提とするものだから、ドーナーの精神の正常性を強く疑ってドーナーの見解を退ける場合には当てはまらない。
blue lineの意味
ドーナーが Dorner Manifesto で blue line という用語を3回使っているのだが、これはアイスホッケーの用語であるブルー・ラインのことを意味していると思う。blue line を文脈に即して訳せば「超えてはいけない一線」や「不可侵領域」となるだろう。
LAPDという組織の踏み込んではならない部分、いわば聖域に侵入してしまった。それがドーナーの罪だったのだろうか。
Joe Jones Manifesto
Dorner Manifest を受けて元LAPD勤務者が過去の体験を語っている。これは huffingtonpostで Joe Jones Manifesto と呼ばれているものだが、ドーナーが世論に訴えようとした LAPD の体質をより一層強調するように思われる。
疑問
- ドーナーは正式な法的手続きを使い尽くしたうえで(うえだからこそ?)このような犯行に及んだようだが、その手続きに対する実質的な見直しの議論が何かしら進むのか
- ドーナーの体験において人種差別が特に重要なテーマだろうが、警察と人種差別の関係について問題が改めて提起されるか
- ドーナーは犯行時・前に精神を患っていたとして、ドーナーが提起した問題は今後どれほど矮小化されるのだろうか*3
- ドーナーが憤怒した理由を考える上で暴行事件の被害者男性の特性は重要だと思うが、日本のメディアはなぜそこに注目しないのだろうか*4
- ドーナーが体験した不正と同等のことは日本では全く起こっていないのか、起こっているならば、ドーナーの件の報道を通じて改善の兆しが何かしら見られるのだろうか
追記
本件の全体像と関連する事件は以下のサイトでよくまとめられている。
このサイトによると、上記のpastebin.comへの投稿はドーナー自身によるものらしい。
*1:焼失小屋の遺体は逃走中の元ロス市警警官、歯科記録で確認 | Reuters
*2:後半部分は、知人への感謝の言葉やアメリカの著名人に対するドーナーの評言で主に構成されている。
*3:クリストファー・ドーナーが炎上するキャビンの中に?? | アメリカ事情 from Mitsuko参照
*4:その例として以下のページがある。ロス市警で映画さながらの復讐劇!解雇の元警官「同僚・家族50人殺す」 : J-CASTテレビウォッチ