「Dvorak配列を使用してキーボード入力を快適にする」第二回
ようこそ
これは、Dvorak Advent Calendar の第10日目のエントリーです。
目次
3. Dvorak配列の欠点と対策
以下では、原則として、Windows の環境下で DvorakJ を使用することを想定しています。mac や Linux を使用している方は、適宜読み替えて下さい。
3.1. 直接入力時の欠点と対策
3.1.1. 修飾キーを使用するとき
修飾キーを使用するときの欠点は、使用するキーバインドの位置が変わってしまうことです。言い換えると、QWERTY 配列のキー配置に基くキーバインドから Dvorak 配列のキー配置に基づくキーバインドへと変わる、ということです。大抵のアプリケーションで設定されているキーバインドは、QWERTY 配列での入力を前提としているのではないでしょうか*1。そうだとすると、Dvorak配列の使用中は、アプリケーションが提供している便利な入力方法を、有効に活用できない恐れがでてきます。
対策は二つあります*2。一つ目の手法は修飾キーを押し下げている間、QWERTY 配列を一時的に使用することです*3。DvorakJ では、「直接入力」の項目においてそれを設定します。以下の画像を参照してください。
二つ目の手法は、単打のみで、またはキーを複数個同時に打鍵して、修飾キー付きの文字を出力するよう設定することです*4。こちらは、一つ目の手法とは対照的に、QWERTY 配列からの決別を意味するでしょう。 QWERTY 配列のキーボード配列を基として例を出すと、@だけで、またはDとKを同時に打鍵して、Ctrl-x を出力するというものです*5。
3.1.2. 修飾キーを使用しないとき
他のDvorak配列の欠点としては、それなりに入力するものの入力しにくいキーストロークが存在することと考えられるでしょう。その一例として、ファイルやディレクトリの情報を表示させるコマンド ls が挙げられます*6。たしかに、段が異なるキーを小指で打鍵する "ls" は、入力しにくいキーストロークといえるでしょう。
この対策は、上記の「修飾キーを使用するとき」の第二番目の手法と同一です。たとえば、 QWERTY 配列のキーボード配列を基とすれば、: のみで、またはEとIを同時に打鍵して "ls" を出力するのです*7。
次回は、日本語入力において Dvorak 配列を使用することの欠点と対策を一部説明します。
*1:切り取り、コピー、貼り付けのキーバインドたる、Ctrl-x、Ctrl-c、Ctrl-vを想起して下さい。
*2:ここでは通常の文字キーと修飾キーのいずれか、または両方を組み合わせる手法のみを取り上げます。無変換や変換と英数字を組み合わせる手法は説明しません。なお、私は、無変換を押しながら英数字を押すことで、Ctrl-英数字を出力するよう設定しています。
*3:mac においては、Dvorak Keyboard Layout on Mac OS Xによると、Dvorak--QWERTY というキーボード配列を選択することで、このような動作を利用できるようです。ただ、Apple サポートコミュニティ: Dvorak-Qwertyでショートカッ...によれば、不具合が確認されている機能でもあるようです。
*4:キーを順に打鍵することで修飾キー付きの文字を出力することも考えられます。ただ、ここでは説明を省きます。
*5:後者はいわゆる同時打鍵という入力方式です。もしかすると、Ctrl+中指か薬指を使うキー操作が多いEmacsで指の負担を軽くする方法 - (rubikitch loves (Emacs Ruby CUI Books) )で紹介されている key-chord.elを導入すれば、Windows のみならず Linux や mac の Emacs において、同時に打鍵する設定をうまく使えるかもしれません。
*6:第5次Dvorak配列ブーム その3 | alifedesignやをFAQ - Colemak参照。
*7:ちなみに、私は、 QWERTY 配列のキーボード配列でいうWとF、EとFといったキーを同時に打鍵して、"-"を出力するよう設定しています。