概要
「ニコラの公式規格書」*1たる「NICOLA配列規格書」*2が提示しようとしたキーボード配列を復元してみる。
考察
「NICOLA配列規格書」と「4.文字の選択」では、整合していない説明がいくつもある。以下で順に解説しよう。
「4.文字の選択」は、キーボード配列のキーに割り当てている文字と記号を、下段から上段へ、且つ左から右へ順番に並べたもののようだ。「(1)右領域文字キーの単独打鍵により選択できる文字種は以下のとおりとする。」との説明の後に例示されているものを見てみよう。この仮説通りに文字と記号が並んでいることが分かる。
しかし、「4.文字の選択」の例示は文字や記号を左から右へ順番に並べたわけではないようだ。「(3)右領域文字キーと親指左キーの同時打鍵……」を見て欲しい。濁点の位置に注目する必要がある。ここでは、例示の末尾に濁点が配置されている。この表記は、上段の右端に濁点を置く、ということを意味すると考えられる。「(6)左領域文字キーと親指右キーの同時打鍵……」における半濁点の位置も同様である。もっとも、文字と他の記号類とは異なり、濁点と半濁点については、列挙する順番には何ら意味づけをなしていないのかもしれないが。いずれにせよ、私には理解しかねる記述方法だ。なお、「み」と「お」の文字が「4.文字の選択」の「(2)右領域文字キーと親指右キーの同時打鍵……」の例示から抜け落ちていることを指摘しておこう。
つぎに、「配列図」の考察に移ろう。「配列図」で真っ先に見るべきものは「備考」欄だ。何を表記しているのかおわかりだろうか?私は一読してすぐに理解するには至らなかった。「備考」欄の html のソースと上記の「4.文字の選択」を比較対照することで、この備考で何を表現したかったのかをやっと理解した(つもりだ)。以下に私が理解した内容を表形式で記述しよう。以下の表と「配列図」たる「図1」には記号そのものの表記において違いを多く見つけることができよう。
キー名 |
単打 |
片手を使用する同時打鍵 |
両手を使用する同時打鍵 |
D01 |
。(句点) |
ぁ(小文字) |
゜(半濁点) |
D04 |
|
ゃ(小文字) |
|
D10 |
,(コンマ) |
ぇ(小文字) |
|
D11 |
、(読点) |
|
|
C04 |
|
ゅ(小文字) |
|
C09 |
|
ょ(小文字) |
|
C10 |
|
っ(小文字) |
|
B01 |
.(ピリオド) |
ぅ(小文字) |
|
B02 |
|
ー(長音符合) |
|
B05 |
|
ぃ(小文字) |
|
B10 |
・(中点) |
ぉ(小文字) |
゛(濁点) |
以上のことをふまえると、「NICOLA配列規格書」が提示しようとしたキーボード配列はつぎのようなものだろう。濁点の位置については、感想を簡単に述べた。昨日のエントリーNICOLA配列が「NICOLA配列規格書」どおりの位置に濁点キーを置いていない理由が分からない - blechmusik2の日記参照。
単打
キー |
01 |
02 |
03 |
04 |
05 |
06 |
07 |
08 |
09 |
10 |
11 |
D |
。 |
か |
た |
こ |
さ |
ら |
ち |
く |
つ |
, |
、 |
C |
う |
し |
て |
け |
せ |
は |
と |
き |
い |
ん |
|
B |
. |
ひ |
す |
ふ |
へ |
め |
そ |
ね |
ほ |
・ |
|
両手を使用する同時打鍵
キー |
01 |
02 |
03 |
04 |
05 |
06 |
07 |
08 |
09 |
10 |
11 |
D |
° |
が |
だ |
ご |
ざ |
ぱ |
ぢ |
ぐ |
づ |
ぴ |
空き |
C |
ヴ |
じ |
で |
げ |
ぜ |
ば |
ど |
ぎ |
ぽ |
空き |
|
B |
空き |
び |
ず |
ぶ |
べ |
ぷ |
ぞ |
ぺ |
ぼ |
゛ |
|
片手を使用する同時打鍵
キー |
01 |
02 |
03 |
04 |
05 |
06 |
07 |
08 |
09 |
10 |
11 |
D |
ぁ |
え |
り |
ゃ |
れ |
よ |
に |
る |
ま |
ぇ |
空き |
C |
を |
あ |
な |
ゅ |
も |
み |
お |
の |
ょ |
っ |
|
B |
ぅ |
ー |
ろ |
や |
ぃ |
ぬ |
ゆ |
む |
わ |
ぉ |
|
雑感
上記の通り、ウェブページ「NICOLA配列規格書」には誤った記述が多々ある。記述に誤りがあるのは仕方がない。しかし、上記のような誤りを10年間も放置し続けてきたわけだ*3。そのうえ、そのウェブページに対して「ニコラの公式規格書」と説明をつけてリンクを貼っている*4。NICOLA配列を喧伝する人は、NICOLA配列の公式の規格書とその説明を今一度刷新しようと働きかけるべきだろう。