はじめに
このエントリーは、「{た}べる」→「食べる」 - blechmusik2の日記のエントリーの続編です。
2009-05-17 - blechmusik2の日記で、ketttさんから以下の文献を紹介されました。
前者のウェブページは読んだ覚えがあります。その一方、後者のウェブページはこれまで読んでいませんでした。
「kanzen は完全か? 」のありか
後者のウェブページから「kanzen は完全か? 」というエントリーにリンクが張られています。
このリンク先のウェブページを閲覧できません。
そこで Internet Archive: Wayback Machine を使用することにより、過去のウェブページを見ることが出来るか調べました。結局のところ、閲覧できませんでした。
ここで気づいたことがあります。前者のウェブページからリンクが張られている「kanzen は完全か? 」と、後者のウェブページからリンクが張られている「kanzen は完全か? 」は別物だと言うことです。URLが異なるのです。前者のウェブページから張られているリンクのURLは以下の通りです。
これを頼りにすることで、以下のウェブページにたどり着きました。
このウェブページの中から、skk に関する2点の記述を拾い上げます。
「キーストロークモデルによれば」……
電気通信大学の角田博保さんによればシフトキーで変換の指定を行なうのはキーストロークモデルによればあまりよくないのだそうだ.
角田さんですか。キーボードの配列に興味を抱いて何かしら調べる人ならば角田さんの論文を一篇は読んでいるのではないでしょうか。ここで、角田さんのいくつかの論文をDvorakJPの提案者 aki:z さんが挙げていることをふと思い出しました*1。
大文字
そういえば,ドイツ語は文と名詞の頭は必ず大文字である.ドイツ語のタイプが遅いという話は聞いたことがない.
「キーストロークモデルによればあまりよくない」からといって、「……タイプが遅」くなるとは限らないでしょう。負荷は大きくかかっているのかもしれませんけれど。
まとめ
Kanzen 、そして skk においては、かな漢字変換の範囲を明示するために、シフトキーを押します。これにつき、角田さんのようにハードの側面から問題提起を受けていたことがわかりました。 Kanzen の提案者がこの問題提起を検討していることもわかりました。
この記事では解らないことはあるでしょうか。あります。それは、言語の研究者である吉川さんの指摘に対する返答です*2。
該当箇所を引きます。
かな漢字変換の方式は漢字部分だけを{ }でくくるというものだった。
例えば「食べる」では「{た}べる」とする。
これは言語の特性を無視したもので生理的に受け付けにくい。
開発に言語学者は携わらなかったのだろう。
原文では「これは……」の箇所が強調されています。「kanzen は完全か? 」には、この吉川さんの指摘に対する返答が見あたりません。
現在でも skk のシステムは健在です。skkime や AquaSKK の名を挙げるまでもないでしょう。だからこそ、現在の研究成果では skk におけるこの変換方法をどのように評価するのか。つまり言語学上と人間工学上の双方の研究では、この変換方法をどのように位置づけ評価するのか。この点を知りたいです。