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blechmusikの日記

キー・カスタマイズ・ソフトウェア "DvorakJ" の覚え書きをはじめとして様々なことを書いています。

NPO法人「大雪りばぁねっと。」関連の事件から学ぶこと: おわりに

東日本大震災
  1. はじめに
  2. 事件報道の概要
  3. 考察
  4. 仮説
  5. おわりに ←ココ
  6. 追補


 これまでの分析によって、「大雪りばぁねっと。」関連の事件を読み解くことができたと思う。仮に岡田氏や橋川氏が独力でリース会社活用のスキームを構築したとしても、その背後には自治体の直接・間接的な関与が存在したのではないか。岡田氏と山田町の関係、リース会社活用のスキームの経緯、行政の手続きの不審な点を総合的に勘案すると、このような疑念を抱かざるを得まい。また、大雪りばぁねっと。が他のボランティア団体を排除していたのではないかという疑惑も注目に値する。自治体とNPO法人の連携は今後も続いていくだろうから、この事件の考察を通じて明らかになった、両者の関わり合いに存在する構造的な欠陥を早急に修正せねばなるまい。言うまでもないことだが、この事件の教訓を、山田町や岩手県という狭い地域に限定されるものとして扱うのは好ましくない。他の自治体においても当該問題の所在が共有され、広く深く分析し検討されねばならないのである。他山の石以て玉を攻むべし。


 ここで、この事件に関する所感と今後の報道に求めたいことを話そう。
 この事件の報道に接した当初は、はっきり言うと、被災地において資金が不足した一団体のニュースでしかないと感じていた。もちろん、被災者の雇用の場が消失するということは、岩手県内のみならず全国的にも興味をもたれるものと考えられる。その資金不足の理由として、一般市民にとって不適切と思われるものへの支出があるならば、なおさらそうだろう。そうはいうものの、それはあくまでも一団体の資金のやりくりに不備があったということに過ぎず、当該団体がせいぜい好奇の目にさらされるにとどまる。またNPO法人が解散すれば、雇われている人々を含む債権者は実質的に泣き寝入りをすることになり、事態は必然的にそこで終わりを迎える。私はこのように考えていた。
 やがて私は、一団体が引き起こした特異な例として事件を見るだけでなく、自治体とNPO法人の関わり方の問題としても事件を把握すべきだと考えるに至った。ニュース報道からすると、自治体は概して被害者の立場を堅持しているように見える。だが、果たしてその構図は適切なのかと思うようになった。この事件の真の争点は、自治体がNPO法人とあまりにも密接に近づいてしまったことではないか。この点で気になるのは、先述の、大雪りばぁねっと。の岡田氏が町章入りの不可思議な名刺を有していたことである*1。今後は、NPO法人の活動にのみ焦点を当てるのでは無く、自治体とNPO法人の関わり方にも目を向けてほしいものだ。
 今後の報道に求めたいのは2点である。第一に、自治体とNPO法人の関係を追究するために、先述の名刺の件を真相を明らかにしてほしい。誰がどのような経緯で名刺を作成したのか、またその名刺によってどのような事態が引き起こされたのか、こういった名刺にまつわる事実は公にされるべきだろう。
 第二に、岡田氏と山田町上層部の関係を究明してほしい。「前町長副町長岡田氏の意志決定ライン」*2なるものは本当に構築されたのだろうか、もしも構築されたのであればどのように機能していたのか知りたいものである。


 最後に、事件の問題点を追究している方から興味深い見解を先日伺ったので、お礼を述べたい。ありがとうございました。

*1:岩手日報2013-01-18「委嘱記録ない役職を名刺に 山田のNPO問題」。なお、私の見間違いで無ければ、この件について朝日新聞や読売新聞、毎日新聞は一切報道していない。

*2:信楽の茶人、為さんが見た被災地山田町とNPO問題 - Togetter