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blechmusikの日記

キー・カスタマイズ・ソフトウェア "DvorakJ" の覚え書きをはじめとして様々なことを書いています。

山本七平曰く「ベンダサン氏は実在の人物で、テネシーにいるはずです」

雑記

1971年3月13日朝日新聞朝刊23面の記事「ナゾ深まる 『日本人とユダヤ人』著者 米でも確証つかめず 幻のまま『大宅賞』候補に」が気になった。これは『日本人とユダヤ人』が大宅賞を(3月20日に)受賞する一週間前の記事で、朝日新聞の特派員によるインディアナ大学のロウラー博士へのインタビューが大半を占めている*1。記事によるとロウラー博士の同僚の中には博士の素性を深く知る人がいなかったようだ*2
この記事で気になったのはつぎの山本七平の発言である。

……ロウラー博士も著者ではありません。もっとも、ロウラー博士が協力した可能性はあるけれども。ベンダサン氏は実在の人物で、テネシーにいるはずです。

この山本七平の発言をもとにテネシーで情報を収集したマスコミは当時いなかったのだろうか。イザヤ・ベンダサン山本七平は同一人物であると早計に断言する前に、山本七平の上記の発言を精査すべきだっただろう。
なお、その大宅賞の授賞式の場には、山本七平、ロウラー(ローラー)博士、ホーレンスキーの3者が居たということを付言しておこう*3


ちなみに、このエントリーを書いたきっかけは二つある。一つは『日本人とユダヤ人』のテーマである日本人への危害の危険性が高まっているように見えることである*4
もう一つは私事であるが、『日本人とユダヤ人』の山本書店の初版本を所有していた私の親族(以下じいさんと呼ぼう)の家が取り壊され、その際にその初版本が処分されたことである*5。その初版本を有していたじいさんは私と50歳以上年齢が離れており、私が初版本の存在に気づいたちょうど10年前の時点で、じいさんは既に呆けており私と意思疎通をはかることができなかった。数年後にじいさんの子(キリスト教徒)と孫にこの書籍についていくつか尋ねてみたが、誰も読んだことはないと素っ気ない返答がかえってくるだけだった。聞くところによると、昨年の震災における津波の被害のためにじいさんの家は取り壊され、それにしたがい家の中にあった『日本人とユダヤ人』の初版本も処分されたようだ。キリスト教徒だったじいさんが『日本人とユダヤ人』を如何に読み解いたのかを一度聞いてみたかった。

*1:浴衣姿で微笑するロウラー博士の顔写真が掲載されているのも特徴的である。

*2:その例外として、アイルランド人ということは知られていたようである。

*3:Voice 平成4年3月「山本七平追悼記念号」の『日本人とユダヤ人』裏話参照。

*4:特集ワイド:北朝鮮ミサイル開発「小説」を読む 極秘「星の光」計画 - 毎日jp(毎日新聞)

*5:山本夏彦によると、山本七平は『日本人とユダヤ人』を増刷しようとしなかったという。1991年12月10日中日新聞夕刊の13頁「『日本人とユダヤ人』“訳”の評論家 山本七平氏死去」より。また、Voice 平成4年3月「山本七平追悼記念号」の『日本人とユダヤ人』裏話によると、山本書店の初版本は2,500部である。