blechmusikの日記

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被災地である釜石市と大槌町の情報収集中に気になったこと3点

はじめに

このエントリーでは、釜石市大槌町の情報収集において気になった点3点を述べる。その3点とは、具体的には、両石の津波の動画の非公開、被災地内の犯罪の一部の非公開、被災地内部からの情報発信の不活発さである。

1 両石を襲った津波の動画が公開されなくなったこと

第一は、両石で撮影された津波の動画が公開されなくなったことである。両石の町内会長が撮影した動画を、当初、甥のがまーさん (がまー (butter_knife) on Twitter)が公開していた*1。その後、撮影者たる町内会長が現地で中傷を受ける等の被害が出たため、がまーさんは公開を取りやめたのである*2
しかし、希望はまだ残されている。がまーさんが動画の再公開の意思を表明なさっているのだ*3。「東北の今後のために、または想定されている東海地震や南海地震で、その地方の方々が自分達と同じ被害を受けなくてもすむように」*4、がまーさんは動画を公開なさった。がまーさんの見解に同意する。後生の命を救うよう、この動画が有効に活用されることを切に願っている。

2 被災地内の犯罪の一部が報道されていないこと

第二は、被災地内の犯罪の一部が、役所の職員がマスコミに伝えなかったため、報道されていないことである。情報源は「司法書士・阿部亮(あべりょう)、被災地訪問の記録 その6」*5というエントリーだ。

以下、釜石市役所職員A氏が説明した内容を引用する。

被災後 3 日目あたりからは、県外ナンバーの怪しい車がやって来ていて、パチンコ屋の金庫やガソリンスタンド、宝石店などが窃盗に入られ、自動販売機はバールでこじ開けられ、瓦礫から金目の物を物色する盗難は相当発生していたそうです。
それに対処すべく、県外ナンバーの車に交通規制をかけようとも試みたが、混乱に乗じて「救援物資配送」や「ボランティア」を語って検問を抜けて市内に入ろうとする車も多かった。

役所は、犯罪を防止するために県外ナンバーの車を締めだそうとしたようだ。「瓦礫から金目の物を物色する盗難は相当発生していた」、被災地に入り込もうとする車が「多かった」というが、具体的な数値は示されていない。

発言内容を続けてみていこう。上記の内容をなぜマスコミに伝えなかったのか。

Aさんを含めた役場の方々は、そういう情報に関しては、あえてマスコミに話さなかったそうです。
そういう話が、センセーショナルに報道されると、さらに県外からの窃盗団が増えたり、助け合っている市民までが魔がさしたり、疑心暗鬼になってしまう。
それらを回避するという理由からだそうです。
報道はされていないが、震災後 1 週間程度は暴力事件等もあり、水道や電気のライフラインが復旧してくるにつれて沈静化していった。

この理由付けを整理すると、つぎのようになるだろう。

  報道する場合 報道しない場合
メリット   県外からの窃盗団増加の抑制/市民の犯罪荷担の抑制/市民の心理的安定の維持
デメリット 県外からの窃盗団増加/市民の犯罪荷担/市民の心理が不安定に  

私はつぎのように考えた。犯罪の発覚を報道しないこと自体が、犯罪を助長したりしないのだろうか。

  報道する場合 報道しない場合
メリット 被災地外へ:治安の維持強化要請のメッセージ伝達/被災地内:市民の警戒心の向上 犯罪誘発の抑制/住民の心理的安定の維持
デメリット 被災地内外からの窃盗団増加/市民の心理が不安定に 市民による警戒心の非向上/情報不足により市民の心理が不安定に/犯罪未発覚だと誤認した犯人が窃盗をさらに行う

これらに関しては、計量的な研究調査が必要になると思う。

なお、上記の犯罪の被害について、警察にどの程度連絡したかがわからないことを付言しておこう。マスコミに情報を流さなくとも、警察にきちんと情報を伝達し、結果として市民の生命・財産の安全を確保しようとすることは理解できる。そうはいうものの、岩手県警のこれまでの発表を見る限り、犯罪発生件数の情報が適切に伝えられてきたのか疑わしい。

今後、災害が発生したときに、基礎自治体はどのようにして住民の生命・財産の安全を確保していくのか。この問題に取り組むうえで、上記の事例は検討に値するだろう。

3 被災地内からの情報発信が活発でないこと

被災地内からさまざまな情報が十分には発信されていないように思われる。たとえば、物資が不足しているといっても、どの程度の個数が不足しているのか不明である。実質的には物資は十分足りているのに、分類作業が追いつかないため、不足していると思い込んでいるのかもしれない。ボランティアが足らないのは、これまでのボランティア作業の内容の傾向や今後の見込みが明らかにされないため、申し込みにくいのではないだろうか?
今回の震災でよく分かったのは、被災地内の情報を整理し発信する作業にこそ力をいれるべきだということである。こう言い換えようか。被災地内の情報を整理し発信することが出来る者は、まずその作業に専念すべきだ。何にどれほどの労力を割けば効率良く目標を達成できるのかを、一度考えてみるとよいかもしれない。

おわりに

以上、3点をかいつまんで記述した。上記の点は、東北に限らず、今後生じるであろう東南海地方の震災にも関わる。参考になれば幸いである。