blechmusikの日記

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「第77回 NHK 全国学校音楽コンクール全国コンクール 高等学校の部」を聴いてきた

知人から誘いを受けたので、表題のコンクールの生演奏を聴いてきた。二階席中央(C セクション)の中央という、かなりよい席に座ることができた。お誘い下さり、どうもありがとうございます。
結論を言うと、私は豊島岡女子学園高等学校の合唱が総合的にすぐれていると感じた。
知人も私も、安積黎明高校の合唱が一番コンクール受けしそうなものだということには意見の一致を見た。知人はそれを「ブーレーズが指揮する統制された演奏」のようだと形容していたが、言い得て妙ではないだろうか。
そのうえで、私が豊島岡女子の合唱をさらに評価するのは、課題曲の歌詞を深く分析していた点と、自由曲において音をブレンドし響きを多様化させていた点を重視したからである。課題曲の歌詞につき、「どこ」のみならず「どの程度」抑揚をつけるかを、丁寧に読み解いたようだ。自由曲の合唱においては、声をどれほど融け合わせられ、また声色(というのかどうか定かではないが)を切り替える技能をよく示していただろう。なぜこういうのかというと、英国式ブラスバンドという同属楽器の演奏を好む私は、音のブレンドと音色の切り替えを合唱でどれほど表現できるかに注目していたのである。他にも音量や音の響き*1、ハーモニー、リズムといった点を相対的に考慮した結果、豊島岡女子の合唱を高く評価するに至ったのである。

注目すべきは、NHK の生放送後に述べられた、すなわちテレビでは放送されなかった講評の内容だろう。講評の内容をいささか誇張気味に概括すると、以下のようになる。ただし、あくまで私によるまとめであるから、他のソースも参照してほしい。

  1. 作品の部分に応じた声作りをすべき。
  2. 音楽の Form――テンポやリズム――をしっかり作り上げるべき。Form を作り上げてから、個性云々という表現の問題を解決するほうがよい。
  3. 以下のことについては、そう簡単に伝わらないが、着実に行うべき。
    1. 作品の持つ魅力
    2. 音楽のもつ顔
    3. 作品のコアと考えられるもの(これは、必ずしもフォルテの部分に限らない)

この講評の内容から伝わってくるメッセージはこういうものだろう。すなわち、審査員にとり、あなた方の合唱すべてを好意的には解釈しえない、ということだろう。強圧的になってしまうかもしれないが、これを言い換えると、練習においてどの部分に時間を注ぐべきか再考せよ、ということだと思われる。
この点に関連することだが、私は、審査結果を数値化して公表すればよいのではないだろうか、と思った。たとえば、英国式ブラスバンドの大会には、自由曲と課題曲の演奏を数値化して公表しているものがある*2。これにより、審査員は総体としてどの課題曲をどの程度評価したのか、ということが朧気ではあるが見えてくる。審査員と合唱団との意思疎通を深める観点からは、評価の数値化とその公表という案が一考に値する、と考えられよう。

*1:この点が特に重要である。音量があっても、音が響いていない限り、二階席まできちんと伝わらないのだ。

*2:See, European Championships. ただし、National Championships of Great BritainBritish Open Championshipsといった有名な大会においては、結果のみが公表されている。