blechmusikの日記

キー・カスタマイズ・ソフトウェア "DvorakJ" の覚え書きをはじめとして様々なことを書いています。

Adler,Charles Van Doren "How to Read a Book" と訳書『本を読む本』の相違点4点をまとめた

Adler,Charles Van Doren "How to Read a Book" と訳書『本を読む本』の相違点四点をメモとして書き残しておこう。

How to Read a Book (A Touchstone book)

How to Read a Book (A Touchstone book)


本を読む本 (講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)


第一に、第一章第一節の小見出しの語順が異なる。原書には "The Activity and Art of Reading"(訳出すれば「読書に対する積極性と読書技術」)と記載されている一方、訳書には「読書技術と積極性」とある。この節のより小さい小見出しは「積極的読書」「読書の目的……」……と続くから、原書の語順の方がより適切だろう。訳書でこのような体裁を採用した理由は不明である。
第二に、第三章の内容がことなる。「日本人の読書――訳者あとがきにかえて」265ページ参照。原書の第三章は "Approaches to different kinds of reading matter"である。複数の分野につき論が展開されるわけだ。これに対し、訳書では「文学の読みかた」とかなり限定的なものとなっている。各節の小見出しを見れば、その違いはあきらかとなる。"How to Read Practical Books", "How to Read Imaginative Literature", "How to Read History", "How to Read Science and Mathematics", "How to Read Philosophy", "How to Read Social Science" が訳書には全く収録されていない。訳書には、「小説、戯曲、詩の読み方」として"Suggestions for Reading Stories, Plays, and Poems"の節のみが収録されている。「日本人の読書――訳者あとがきにかえて」265ページによれば、原著者の意向にしたがってこれらの節を割愛したらしい。これらの節はあくまでアメリカの読者に向けて書いたものであるから、日本の読者に対してはふさわしい内容ではない。アドラーはこう考えたのだろうか。それとも、アドラーが展開している議論を正確に訳出しうる訳者を探し出すことができなかったのだろうか。
第三に、Appendix A と B が全く訳出されていない。Appendix A には推薦書が列挙されており、Appendix B には本文中で説明された読書レベルに関する練習問題が収録されている。
第四として最後に触れておかねばならないのは、原書がそのまま訳されていないということだ。抄訳をまず指摘しよう。たとえば、原書21章冒頭部分の6パラグラフは訳書で1段落にまで圧縮されている。原書で強調されていない箇所が括弧書きで修飾されていることも、指摘せねばならないだろう。一例を挙げると、訳書1章冒頭一段落目の鈎括弧に相当する強調箇所3カ所とも、原書中の対応する箇所に見当たらない。どちらの点についても、訳書には一切断り書きがないのだ。
どなたか、原書"How to Read a Book" と訳書『本を読む本』の相違点を子細に検討していただけませんかね。