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blechmusikの日記

キー・カスタマイズ・ソフトウェア "DvorakJ" の覚え書きをはじめとして様々なことを書いています。

下駄配列から黒塗り桐下駄配列までを概観する

はじめに

先月のエントリー「私が考案した*塗り*下駄配列につき、近日比較対照しながら説明しよう - blechmusik2の日記」につき、簡単にまとめておこう。まず「下駄配列」を私なりにまとめる。つぎに、私が作成した下駄配列の派生の配列の概要を説明しよう。その際に、各配列の特徴を比較対照した一覧表を提示する。最後に、私がなぜ下駄配列の派生を作成しているのかをかいつまんで説明しよう。

「下駄配列」とは何なのか

下駄配列とは kouy さんが作成した配列である。「かな入力方式の一つ」である *1 、2005 年に改変作業が終了した配列だ*2。以下では、下駄配列のこの最終版を下駄配列と呼ぶことにする。
下駄配列の特長は「日本語で1拍で発音するものはほとんどすべて一動作で入力することができ〔る〕」ことにある *3。つぎの二点を兼ね備えているから、下駄配列にはこの特長が存在するのだ。第一点は、文字キー同士を同時に打鍵するという入力方式である。たとえば、[F]と[J]を同時に打鍵すると「を」を出力し、 [S]と[I]を同時に打鍵すると「ぞ」を出力する。かな入力とは異なり、[Shift]と文字キーを同時に打鍵することはない。第二点は、拗音や記号を同時打鍵で一度に出力する設定だ。たとえば、[W]と[J] を同時に打鍵すると「ぎょ」を出力し、[D]と[F] を同時に打鍵すると読点を出力する。より正確に表現すると、文字キー同士を同時に打鍵することで、平成三年内閣告示「外来語の表記」の第一表と第二表で規定されている文字すべてを出力することができる*4

「塗り下駄配列」「黒塗り下駄配列」「黒塗り桐下駄配列」の異同は何か

この下駄配列の設定を私が少々改訂した配列こそ塗り下駄配列である*5。これは、2ちゃんねるの下駄配列スレッドで指摘されていた句読点の位置をはじめとして*6、下駄配列を自分なりに改訂したものだ。ワグネらの研究成果をふまえ*7、薬指への負担を減少させる一方、小指への負担を増大させた。また、開き括弧と閉じ括弧を一度に出力できるよう設定した。
下駄配列の特徴を踏襲しながら独自の要素を多数盛り込んだ配列が黒塗り下駄配列である*8。黒塗り下駄配列を使用すれば、文字キー同士を一回同時に打鍵することで、「りょく」や「ニュー」といった文字列を出力できる。「しかしながら、」や「にとどまらない。」といった接続表現についても同様だ。また、文字キー同士を同時に打鍵することで、カーソルを移動することもできる。打鍵数を可能な限り減少させるのみならず、入力しにくい運指を避けるよう最初から設計した配列だ。
黒塗り下駄配列のねらいをふまえながら、さらに改良した配列が黒塗り桐下駄配列だ。黒塗り下駄配列と比較すれば、黒塗り桐下駄配列の改善点は二点挙げることができる。すなわち、第一は覚えやすさの追求であり、第二は運指の調整だ。第一の覚えやすさの追求として、黒塗り桐下駄配列では子音のキーと母音のキーを同時に打鍵するという入力方式を採用した。これに対して、黒塗り下駄配列の記号には、子音のキーと母音のキーを同時に打鍵するという設定がないわけではないものの、その設定をほぼ完全に採用しているわけではなかった。第二の運指の調整としていくつかのねらいをもって配列を設計した。例をいくつか挙げよう。下段をあまり使用しないようにする、[Q]と[P]をそれほど打鍵しないようにする*9、配列全体の打鍵数を減少させるためにア段の文字をできるだけ単打で出力するようにする*10、といったものだ。
以下に、それぞれの配列の特徴をおおまかに比較対照した表を掲載しよう。

特徴 \ 配列名 下駄配列 塗り下駄配列 黒塗り下駄配列 黒塗り桐下駄配列
文字キー同士を同時に打鍵
「外来語の表記」第一表と第二表の文字すべてを出力可能
子音キーと母音キーを同時に打鍵
開き括弧と閉じ括弧を一度に出力可能 ×
同時打鍵でカーソル移動可能 × ×
接続表現を一度に出力可能 × ×
「りょく」や「ニュー」を一度に出力可能 × × ×

なぜ末尾が「下駄配列」で終わる配列を作成しているのか

末尾が「下駄配列」で終わる配列を作成しているのは、すでに説明した下駄配列の特長に加え、私が便利だと考える設定を自由に使用したいからだ。
なぜ私は下駄配列の特長にこだわるのだろうか。このこだわりは、「自然な日本語入力」に関する私の感覚に基づいている。「自然な日本語入力」とは「一つの文字で表記される音」を「一回の打鍵操作で入力できる」ものだと説明されてきた*11。この説明は適切であろうか。むしろ、一モーラで発音する音を一回の打鍵操作で入力できるものこそ、「自然な日本語入力」と呼ぶのによりふさわしいのではないか。私はこう感じている。ただ、「一回の打鍵操作」の定義によっては、文字キー同士を同時に打鍵する入力方法以外のものが考えられるかもしれない。
私が便利だと考える設定としては、文字キー同士を同時打鍵することでカーソルを移動できる設定を維持していきたい。

*1:下駄配列って何だ?

*2:ローマ字入力でもなく、かな入力でもなく : 下駄配列完成宣言

*3:下駄配列って何だ?

*4:「外来語の表記」

*5:塗り下駄配列の提案 - blechmusik2の日記

*6:pc / 快適!下駄配列その1

*7:キーボード配列の評価の考慮要素 - blechmusik2の日記

*8:黒塗り下駄配列 2010-01-20 版 - blechmusik2の日記

*9:ワグネらが研究対象としていたキーボードは、通常のキーボードではなくて人間工学上最適化されたキーボードだった。このことに注意を向けたのだ。というのも、そのようなキーボードでは、通常のキーボードと比較して、小指が打鍵するキーが少々手前に設置されている。これは、小指でキーを打鍵しやすくしたものだろう。言い換えれば、人間工学上最適化されたキーボードと比較して、通常のキーボードでは小指で打鍵しにくい位置にキーが設置されている。これを踏まえ、[Q]と[P]を頻繁に打鍵しないようにした。

*10:このような設定は、通常キーボード用のPerky配列新日本語入力方式を参考にしたものだ。

*11:NICOLA配列規格書