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blechmusikの日記

キー・カスタマイズ・ソフトウェア "DvorakJ" の覚え書きをはじめとして様々なことを書いています。

塗り下駄配列の提案

概要

下駄配列の派生版を作成してみました。

上記の画像はクリックすると拡大されます。画像の元データはPaul Goinsさんが公開している画像ファイルです*1

後日追記:空いているキーの設定を以下の図のように変更しました。


さらに後日追記:塗り下駄配列から黒塗り下駄配列へ移行しました。

下駄配列について

下駄配列とは、「下駄配列って何だ?」*2にある作者のkouyさんの説明によれば、以下の特徴を有している配列です。

  • 「かな入力方式の一つ」
  • 「出現頻度の高い文字は1打鍵、出現頻度の低い文字は左右の手で同時に2つのキーを押す(同時打鍵)ことによって入力する配列」
  • 「清音はもちろん、濁音も、拗音も、濁音の拗音」――具体的には「りょ」、「しょ」、「じょ」、「とぅ」、「ヴィ」――「も、日本語で1拍で発音するものはほとんどすべて一動作で入力」可能
  • 記号のいくつかも一回の同時打鍵で入力可能

kouyさんは、下駄配列のよい点として、以下の七点を挙げています*3

  • 「日本語で1拍で発音するものは、ほとんど一動作で入力」可能
  • 「打鍵数が少ない」
  • 「打ちやすいキーしか使わない」
  • 「どんなキーボードでも導入できる」
  • 「拗音は覚えやすく使いやすい配置」
  • 「ホーム段のすべてのキーに文字を配置できる」
  • 「配列は新JISがベース」

一方で、下駄配列の問題点として、以下の二点を挙げています*4

  • 「-同時押しの打鍵感覚に好き嫌いがある」
  • 「ロールオーバーで打鍵することができない」

通常のかな入力と比較すれば、下駄配列の特異さをすぐに見て取ることができるでしょう。なにはともあれ、実際に使用すればわかることでしょう。

下駄配列の作成過程に対する疑問

「各指の使用率」という項目では、下駄配列を作成するにあたり考慮された要素が説明されています*5

……疲れやすい小指の使用率が少なくなるようにしています。

掲載されている表では、この説明の通り、小指の使用率よりも薬指の使用率が大きくなっています。


私が下駄配列の作成過程に疑問を抱いたのは、まさにこの点です。2009-03-15 - blechmusik2の日記 の「昭和十何年頃に」?考案されたタイプライタ用「標準配列」にて触れたとおり、小指よりも薬指の方が相対的な強度は劣っているという見解が、2003年のワグネの論文で示されています*6。この見解が正しいとすれば、下駄配列での薬指と小指の文字の割り当てを再考する必要があるのではないでしょうか。


解決策のひとつは、下駄配列の作者であるkouyさんにより、下駄配列ver.1.12とでもいうべき配列が作成されることです。ただこの解決策は現実的ではないでしょう。というのも、kouyさんが、「下駄配列は……もう変更されることはありません。」と述べていますので*7、今後の更新に期待を抱いてもしょうがないことでしょう。


解決策のもうひとつは、kouyさん以外の人が下駄配列を改変することです。実質的には、この解決策しかありません。

下駄配列の改変の留意点

第一に、左右の薬指が押すキーを再検討します。大概小指が押すキーとの入れ替えになるでしょうか。
第二に、下駄配列の使用心地をなるべく温存しつつ、薬指以外が押すキーの配置も検討します。
第三に、記号類の配置も検討します。

ホームポジションの段の配列の検討

左手の薬指と小指の押すキーを入れ替えます。右手のキーについても同様とします。

ホームポジションの段以外の右手の薬指と小指のキーの検討

二段目の当該キーについては規則的に入れ替えます。
四段目の当該キーについては、薬指が担当している文字を小指に割り当てます。このときに、拗音を構成する「ゃゅょ」はもとの配置から動かさないこととします。

ホームポジションの段以外の左手の薬指と小指のキーの検討

二段目の当該キーについては、薬指が担当している文字を小指に割り当てます。
四段目の当該キーについては、入れ替えません。他の字との連続する打鍵を考えると、「せ」と「ぜ」の位置はそのままにしておいた方がよいと考えました。

同じ指(とくに薬指)で連続して打鍵することを極力減らす

「文字や文字の連なりの出現頻度調査結果」*8にて公開されている情報をもとにして、同じ指で連続した打鍵をおさえるように考えました。その結果、上記の配列ができあがりました。結果として、下駄配列とは少々色合いの異なった配列ができあがりました。そこで下駄に色を塗った下駄、ということで塗り下駄配列と名付けました。
塗り下駄配列で指摘しておくべきことは、同じ指の連続した打鍵を、わずかですが、増やしてしまったことです。右手については中指の打鍵において、左手にいたっては人差し指以外の指の打鍵においてその現象がおきてしまいました。とはいえ、総体としては、同じ指の連続した打鍵をかなり減らしましたので(とくに右手の薬指)、よしとしましょう。


なお、2ちゃんねるのスレッド「快適!下駄配列その1」*9の252が「り」と「ん」を入れ替えたことについて触れておきます。上記の出現頻出調査結果によれば、「ん」を中指で打鍵すれば、中指シフトとの連続が頻出します。「り」と「ん」は入れ替えないほうがよいでしょう。

キーボードの形状の考慮

「さ」と「ざ」は下駄配列で割り当てられていた位置においたままでもよいのです。しかし、通常のキーボードであればQWERTY配列のTの位置の方がBの位置よりも近いはずです。その点を考慮して、「さ」と「ざ」を二段目に移動させました。
TypeMatrixのキーボード*10を使用するのであれば、「さ」と「ざ」の位置は下駄配列のままの方がよいでしょう。

記号等

句読点の配置について、kouyさんが以下のエントリーで説明しています。

  • 「ローマ字入力でもなく、かな入力でもなく : 下駄配列の句読点ってどうよ?」*11
  • 「ローマ字入力でもなく、かな入力でもなく : 下駄配列で手を付けなかったこと:その1」*12

この説明を読み、読点を左手に担当させる必然性はないと判断しました。そこで句読点の配置を検討しました。
下駄配列においては、読点とつながりやすい文字は左手のホームポジションではない段のキーを打鍵することがある(特に「で」と「て」。)。これを念頭に置いて、下駄配列の読点と句点を入れ替えました。入れ替えにより、句読点の打鍵数がちょうどよいぐらいに分散されました。


括弧類は、()まで入力し、←カーソルキーを一回押すという動作がよいと思いました。日本語入力においては、片括弧のみ使用することは少ないと思います。
CapsLockをBackSpaceとしていると仮定して、下駄配列でBackSpaceが割り当てられているキーをEnterとしました。

塗り下駄配列を実装しているソフトウェア

QWERTY配列と併用するならば、以下の実行ファイルをご使用ください。起動するだけで塗り下駄配列に切り替えます。USBメモリに入れて持ち運ぶことができます。

追記:実行ファイルを同封し忘れていました。すみません。修正版と取り替えておきました。


Dvorak配列と併用するならば、本日更新したDvorakJ*13をお使いになるとよいでしょう。塗り下駄配列を使用するオプションにチェックを入れるだけで、塗り下駄配列を使用できます。こちらもUSBメモリに入れて持ち運ぶことができます。

*1:http://www.vultaire.net/software/dvorak_jp106/index.php.en

*2:http://urawa.cool.ne.jp/kou-y/geta.html

*3:http://urawa.cool.ne.jp/kou-y/geta.html#d

*4:http://urawa.cool.ne.jp/kou-y/geta.html#e

*5:http://urawa.cool.ne.jp/kou-y/geta.html#i

*6:Wagner, Marc Oliver, Bernard Yannou, Steffen Kehl, Dominique Feillet and Jan Eggers. 2003. Ergonomic modelling and optimization of the keyboard arrangement with an ant colony algorithm. Journal of Engineering Design. 14(2):187-208. < http://www.informaworld.com/10.1080/0954482031000091509 >. (accessed 31 March 2009).

*7:http://urawa.cool.ne.jp/kou-y/geta.html#b

*8:http://yellow.ribbon.to/~ujiro/hindo.htm

*9:http://p2.chbox.jp/read.php?url=http%3A//pc11.2ch.net/test/read.cgi/pc/1201883108/252-257

*10:http://www.typematrix.com/

*11:http://kouy.exblog.jp/7367673/

*12:http://kouy.exblog.jp/2367916/

*13:http://blechmusik.xrea.jp/d/misc/Dvorak_keyboard_layout/